ミュージカル

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ミュージカル3〜フランスのミュージカル界〜

 

フランスのミュージカル界を語ってみようと思います。

ただし実際にはほとんど見に行ったことがないので、推察ばかりです。<m(__)m>

 

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1.ノートルダムのせむし男

2.MUSICAL とCOMEDIE MUSICALE

3.ノートルダムのあとに

4.フランスのミュージカルってなにさ?

5.オペラコミック

6.2005年冬

 

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1.「ノートルダムのせむし男」

フランスですっかりミュージカルのことも忘れ、平和に暮らしていた頃、

「ノートルダムのせむし男」 Notre Dame de Parisがフランス製ミュージカルになりました。(ヴィクトル・ユーゴーの・・・文学作品です。)宣伝を見ましたが、この音楽は、完全に、いわゆるポップス、というか、歌謡曲、というか、こんにち聞こえてくるセリーヌ・ディオンの曲などと、同様なものでした。作詞作曲コンビからして、そうです。ヒット曲の作者なのです。

そこで、まず「エエ?」と思いました。次のエエ?は、出演者。歌手は「歌手だけ」なのです。ダンサーは踊るのです。(あまりセリフなしの作品みたいでしたが。)だから、歌手と踊りを両方するひとが、誰もいません。三拍子なし。

 

ショックでした。

 

このミュージカルの作詞者プラモンドンは、以前にもミッシェル・ベルジェと組んで「スターマニア」というヒットミュージカルを作りました。私が来た頃、たしかまだ上演していたようです。(ティム・ライスによって英訳されています。)

 

STARMANIA 〜Opera rock〜  Michel erger 曲    Luc Plamondon 詞

スターマニア (ロックオペラ)  曲ミッシェル・ベルジェ     リュック・ブラモンドン 詞

 

NOTRE DAME DE PARIS    Richard occiante 曲  Luc lamondon 詞 

ノートルダム             曲リシャール・コシアンテ    リュック・ブラモンドン 詞

 

しかし、ミュージカルは、フランスでは、だめです。私には。

まあ、どうしても見たいと言うのならイギリスまで見に行けばいいのですが、それもなんだか・・・ユーロスターの出発する北駅は、うちから近くにありますけど。いやいや、私はそもそも「古楽」の勉強に来たのですからミュージカルは関係なかったはず。

もう“忘れた”はず。だったのに。やっぱり忘れられないんだあ〜いや、男の話じゃないです。

 

と思って、私の知っているミュージカルの私的アンケートをしてみると(?)フランスでどんな作品が上演されたのかどうか、はっきり調べることが出来ません。ネットで探すだけなので、限度があるのでしょう。ただ、「キャッツ」は名の知られた劇場で公演されたようですし、仏語版の楽譜も出版されています。ウエストサイドストーリーは、映画のためでしょう、知られています。

しかし、たとえば「サウンド・オブ・ミュージック」は、どうもあまり一般的に知られていない印象なのです。

・・・ドレミの歌も、誰も知らない!?エエ? タイトルのせい?

 

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MUSICALCOMEDIE MUSICALE

よくよく見ていると、フランス語にはMUSICAL という名詞が存在しません。

COMEDIE MUSICALE というのです。

「コメディ」は、喜劇という意味だけでなく、一般的に演劇の意味。(ただし、悲劇の場合はtragedie)Musical という単語は、「音楽的な」という、形容詞なのです。後ろにつきます。英語も昔はそうだったのかしら。

つまり、「おんがくてきな劇」というわけです。(-_-;)

 

この後では、Spectacle musical,  heatre musical

と名打ったものも出てきました。音楽的スペクタクル。言うなればミュージカルシアター。何をかいわんや。別にいいけど。

Tragedie musical 音楽的“悲劇” はまだ、見かけたことがないなあ〜。オペラがそうだって?なるほど。

 

 

ヒットした「スターマニア」は、どうみてもシャンソンの羅列ロックオペラといっているけれど、ウエーバーの強烈な作品が頭に入っている私には、楽譜を見ても、そうは感じない。(まあ、オペラという言葉が確か「作品」と言う意味だったから、その意味でならいいのですが)

曲の中には、それぞれの人生の語りがあります。それらを構成すればお話ができるように、おそらくなっています。題名通りに、きっとスターに憧れる普通の人々の話。「サラリーマンのブルース」という曲では「ショーをするアーティストになりたかった」・・・という内容。音域も広く、声の基本がしっかりしていないと歌えません。下手な歌手がうたうと、「ほんと、そのとおりだね」と、テレビの前でつい言ってしまいます。

各曲が独立して、ポップスとしてヒットしています。「ある男の子の歌(ジギー)」などは、セリーヌ・ディオンが歌っています。そんな「ヒット曲」が、何曲もある「スターマニア」・・・作詞作曲コンビは「ヒットメーカー」でした。残念ながらベルジェはもういませんが、「ノートルダム」からも、大ヒット曲が、3曲はでました。

大聖堂の時、ベル、Vivre・・・・

 

舞台を見たわけではありませんが、この曲では、踊る必要はない・・・歌詞がネックだから・・・というわけで、ダンサーはきっと別々だと思います。もしかしたら、いないかもしれません。とにかく、歌手の名前を見ていると、踊っていたとは思えません。初演者の名前もいつか調べてみます。

 

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ノートルダムのあとに

ノートルダムは大当たり、その後、柳のなんとかそのもの、続々と出てきました。(時期的に思えば、もうすでに準備されていたのかもしれませんが) 記憶にあってヒットした(らしい)ものでは、「ロミオとジュリエット」、「十戒」(たぶん旧約聖書の、誓約書の話)、「風とともに去りぬ」、他・・・エミリー・ジョリー(これは古いものの再演)、「星の王子さま」、「ロッシュフォールのマドモワゼル」(ミシェル・ルグラン音楽の映画)舞台公演、「アリババ」、他。

 

上演ならず?ヒットせず?

「アリババ」はぱっとしなかった印象です。その他、「トリスタンとイゾルデ」が、日本でも知られているブランドで準備されていたようですが、実現されなかったようです。また、ネット上で「オルフェオとエウリディーチェ」の準備中でキャスティング中、という宣伝も見かけました。コレも、実際には聞きませんでしたが・・・・2作とも、もともとオペラにあります。

ブロードウエイでは、「アイーダ」の宣伝があり、あのヴェルディのオペラをこんなところでするのか!?

と驚きましたが、何のことはない、エルトン・ジョンだった・・・作詞はティム・ライスだったみたい・・・

私だったら、蝶々夫人をミュージカルにしたいな♪

 

↑と思っていたらミス・サイゴンがそうだったのね、ぎゃふん。物知らずは怖い。

 

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上演中止

フランスで人気があり、有名な「タンタン」という漫画があります。作者・生まれはベルギーですが「国民的人気」。ベルギーでそのミュージカル上演がされた模様です。フランスへも来る予定で、前売りをしていたのですが、豪華な大掛かりなセットを仕掛けるのに時間がかかり・・・そうこうするうちに、なんと完全中止に。一体なにがあったのか!?

宣伝をちらりと見た感じでは出演者が歌って踊るもので、年のいった俳優も混ざっていました。

「これこれ、コレがミュージカルだよ、フランス人はこれを見なくちゃ!!」と期待していたのに、本当に、残念です。

 

だってね、ロミオとジュリエットでしたか、若手の歌手の紹介のとき「あの子、舞台の上での歩き方も知らなくってね。歌はウマいよ」などという逸話を後から耳にしたのです。なんたることでしょうか。舞台で動けないのに、歌さえ歌えればいい・・・????。踊りはないから。そんな人を主役に担ぎ出すってどういうこと? 普通だったら、オーディションで落とされるんじゃないの!?そんなこと、プロとして、笑って話せる逸話ではありません。そして・・・ノートルダムでデビューした若いジュリーちゃんも、アカペラで歌ったら音がずれていった・・・あららら・・・

 

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フランスのミュージカルって何さ!?

「ノートルダム」に話をもどすと、初演の時の主なメンバーは、半分はカナダ人。みな歌がとてもうまいプロです。イスラエル人のノアが主役のはずが急に降りたとかで、かわりにエスメラルダを演じたフランス人歌手エレーヌ・セガラは、その後CDを出し、順調に人気歌手に。ミュージカルはもうやりません。実際には、もう歌手を何年も続けていた人だったのです。またカジモド役のガルーGarouはカナダから来ましたが、この舞台のあとは、歌手として活動し、セリーヌ・ディオンとデュオもしていて、フランスでも人気があります。がらがら声だけど、のびのび歌っている、とってもいいヤツです。

 

「半分はカナダ人」の中には、すでに「スターマニア」で大事な役を占めていた人もいます。歌手ですが、ミュージカルも続けています。

(15年くらいは、たっているでしょう。)

 

日本でも岩崎ひろみさんのような方がいらっしゃるし、亡くなられた本田皆美奈子さんも歌手と舞台歌手の両立をされていたようですね。だから日本では両方するのが珍しくないみたい。しかし、フランスの歌手は・・・ミュージカルでの成功につづき、歌手デビュー、(あるいは本格的な売り出し)しますが、ミュージカルにまた参加する。という歌手はあまり見たことがありません。

どう考えても、「歌手として売り出す」手段のようなのです。<`〜´> みながうまくいくわけではありませんが。

そのせいかどうか、舞台をちらりと見た感じでは、若いキャストばっかり、という印象。逆の順番で、テレビのオーディション番組で生き残った歌手がミュージカルに出ていることもありました。その後どこへ行ったのかな〜

 

ミュージカルの宣伝は「前倒し」です。ヒットさせる為の曲が用意されており、そのビデオクリップは、上演1年前から流れています。

商売っ気が多いのは仕方ありませんが、それにしても・・・フランスのミュージカルって何さ!?

 

逆に、英語の物を輸入と言う作品では、調べた限り(というかネットだけ)キャッツ以外では、昔「ヘアー」がフランス語で上演されていました。これはフランス語の33回転レコードも見つけました。ということは、ブロードウエイのヒットからあまり遅れないで上演されたのかもしれません。いつも微妙に音程の下がっている歌手が主役をうたっています。しかし、仏語の似あわないこと・・・

そういえば、ヘアーは、フランスへ来た頃に上演されていて、見に行ったものか迷いました。行かなくて良かったかもしれません。行ってたらまたそこで人生狂っていたかも・・・「スターマニア」も再演していました(その頃は何か知らなかったです)・・・しかしその後、フランス製のミュージカル、かんたんに見当たらないんです・・・と思っていたら幸いこんなページを見つけました。↓

http://www.musicals101.com/who8.htm#Schonberg

〜レミゼも、ミスサイゴンも、フレンチ発だったとは。

 

Les Miserables (1980)  レミゼラーブル

Miss Sigon (1989)  ミスサイゴン

La Revolution Francaise (1973) フランス革命

 (幻の作品か?・・・マリーアントワネットも・・・出てくるんだろうな!!それとも宝塚がこれをまねたのでしょうか!?)

 

以上Claude-Michel Schonberg  Alain Boubil 詞 コンビの作品

 

追記(2006年4月)まったく、これだからもの知らずは怖い。しかし、レミゼとミスサイゴンの権利は、作詞作曲者の手を離れ、イギリス人に渡りました。だから、ブロードウエイでもヒットし、日本までたどり着けたのです・・・ちらりと楽譜をみてみたら、音楽的には豊かそうでした。まさか、フランス、「音楽が難しすぎるから」とか。「これ、難しくて教えられない、歌えない」から続かなかったんじゃ・・・(けっこう本気で思ってるワタシ)すでに、仏語版の楽譜も、売られておりません・・・・

 

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オペラコミック・映画

数年前に、オペラコミックで、「愛しのイルマ」と言う作品を見たことがあります。たしかミッシェル・ルグランのパパと、もう一人の共同作曲で、“ジャズっぽい”感じでした。ジャローム・サヴァリの演出です。もちろん演出も芝居もよく、主役はかわいかったし、歌はすっごくウマくもないけど、そこそこ頑張っていた、という感じ。(そのとき見たマチルドさんは、たしか、どこかの王子さまと結婚しました。)声のボリューム小さくとも、マイクを上手に使っていますから、問題はありません。一応、ジャズ時代のフレンチ・ミュージカルかなあ、と思いました。

 

このオペラ・コミック座は、それまでは、オペラなどを上演していた劇場。私が来た年には、バロックオペラを上演していました。その後も経営あやうし、といわれつつ、オペラの若手を生み出そうと、クラシック系で苦戦したりしていたようです。以前に、日本人歌手の先輩がすでに歌われたようで、古いポスターで名前を見ることができましたし、私も、ここでオペラのソロを歌う機会がありました。

・・・それが、ついにジャローム・サヴァリの手中に!いや別に悪い意味じゃないです。たぶん、本格的に、根本から改革しないと、売り飛ばすしかない。・・・売り飛ばしても誰も買わないしれない・・・状態になったのかもしれません。本当はどうなったのかな?

 

しかし、地道に、ひとつの演目を、長い間ほぼ毎日、ひと月あるいは数ヶ月も上演する、という、クラシック系の大ホールとしては珍しい方法で、サヴァリ団長は、突き進んでいくのです。(すてきな娘さんも出られるし)以後、忘れ去られた?上記のようなフランス語のミュージカルや、オフェンバッハのオペレッタ他の上演を続けていて、やっと「オペラコミック」の名にふさわしいプログラムになったのではないか、と、勝手に胸をなでおろしている次第です。演出が確実におもしろいでしょうからね。もちろんオーケストラ演奏も生です。

でも、まだ外側の化粧なおしをする費用は出来ないみたいで、真っ黒です。

 

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映画ミュージカルはミッシェル・ルグランが作っています。映画が出た頃に舞台上演されたのかどうかは知らないのですが。

シェルブールの雨傘、ロッシュフォールのマドモワゼル

シェルブールしか見ていませんが、すべて、切れ目なく歌。セリフなし。(そうえいば、私の好きな傾向がここにもあります。オペラでも、音楽の切れ間があまりないほうが好きなのです。ワグナーのように)行かないで・・・というあの名曲、デュエットで、切れ目が分からないし、ストーリーに入っていないと、突然歌っても分かり難い。でも、ちゃんと独立した楽譜もあります。ミシェルのお姉さんのクリスティアンヌ・ルグランが珍しがっていたので、コピーを進呈いたしました。ナナ・モスクーリの楽譜に、はいっていました。

彼の作品は上手にうたわないといけません。「シェルブール」では役者は口パクで、クリスティアンヌ・ルグランは、お母さん役の歌を歌っています。ぴっちり合うように、双方きっちり練習したらしいです。ずっとだまされていました。」

クリスティアンヌのアルバムは、日本でも見つかります。むしろ日本の方がいろいろあります。彼女の講習会を受けることが出来てラッキーでした。とても元気で、いい人なのです。それに、昔習っていた先生が同じ人と判明。

 

なお、日本のネットで、ルグランの作品で「壁抜け男」というのがあると知りました。全然知らなかったです〜。どうもさりげなくかくれているんですよね・・・

 

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現在2005年冬

もうすぐパリでは「ノートルダム」の再演。新しいのでは「ルイ14世・太陽王」だって。フレンチバロックを学びに来たものとしては、たまらない〜おもしろかなしいよ〜

だって、ピアノも存在していない、チェンバロの時代なのよ。(ベルバラのテレビアニメでは、黒いピアノがでてきたそうですが)それが、今のポップスよ。(そういえば王は踊る、って言う映画もありましたっけ。)

 

追記:しかも、ルイ14世、LIVEって、わざわざ鳴り物入りのポスターが出ています・・・

カラオケじゃないって、わざわざ言いたいのか・・・どこまでライブなのか行きゃわかるんでしょうが、ちょっと・・・・

 

でも宝塚では、こういうことをものすごく前からやっています。ベルバラなんて、ルイ14世より後の話だもんね。「風とともに去りぬ」なんて、当の昔に上演してたますよね。宝塚って、すごいと思います。私の自慢の日本文化です。漫画もそうですね。

 

お気づきの方もあるかもしれませんが、フランスで新品として制作されたこれらの舞台、みな、「誰でも知ってる話」をベースにしています。なんか冒険心がないというのか、恥ずかしいというのか、アイデアがないというか、なんというのか、わびしいです。そう思っていたらNYでさえもアイーダだから、いやになっちゃいました。(これは、椿姫を作曲した、ヴェルディのオペラです)まあ、あとから知ったジキルとハイドとか、モーツァルトも、似たようなものかもしれないけれど・・・そんなもんかな〜? これからミュージカル界はどうなるんだろうか?

 

そんなフレンチミュージカルも、英米人のプロデューサーの手にかかればヒット作品になる?

日本でも上演されているそうですね。結論:

 

日本はほんと、ミュージカル天国ですよ。

 

(T_T)/~~~私の分も楽しんで下さいね〜

 

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