最後に、雑歌屋からの老婆心、
古い留学生から長期留学の方へのメッセージをば、お許しくだされ。
長期滞在の場合、余りに練習に熱心で、友達が余りいない・・・ということもあるようです。
なんだか周りがみんな上手なような気がするし、限られた時間(年)で、できるだけ良い成績をとりたいと思うのなら、
それも、必然的ともいえましょう。
でも、友達がいない、というのはやはり残念なことです。まわりはライバルだけではありません。
(この辺は武宮恵子さんの音楽漫画なぞご参考に・・・)
精神衛生上も、いろんな話を出来る相手がいるのはたいへん大事なことです。
レッスンの苦労、言葉の苦労・・・日本人の友達でも、カタコト友達でも、作りましょう。
最初の日本への電話代が家賃より多かったなんて話も聞きますが、面と向かって話し合える生の人間とのつきあいも、よいものですよ。今はネットもあるけどね!
外国人が多い学校では、フランス語の上達も、難しいことがあります。フランス人がいないからです。語学学校では当然のことですが、音楽学校でも、そういうことがありえます。
こういうときには、学校でさらにアンサンブルの授業をとったり、学校外部で、アマチュアとの合唱や、器楽合奏をおすすめします。
私が語学学校に通いながら「フランス人と話す機会がない」と嘆いたとき、ある人が進めてくれた奥の手?です。
(そのときは、そんな元気もなく実現しませんでしたが)たいしてお金もかからないし、試験もないし、なんといっても本命の学校より気楽でしょうから、お勧めします。自分の練習ができないし、レベルの低い素人に付き合うのは面倒だ、無駄な時間だとは思わず、フランス語を実用する貴重な時間です。まわりまわって、豊かな経験になると思います。
短期留学なら、あっという間にすんじゃった、コトバ難しかった、ですむかもしれませんが、できれば言葉は少しずつわかることが増える方がいいもの。レッスンを録音できる機械は必ず持ちましょう。先輩についてきてもらう、という方もあるかもしれませんが、いつかは自分の力でレッスンを理解した方がいいでしょう。完全に話せなくとも、完全に聞き取れなくとも、「何の話をしているのか」がわかれば、何かがわかると思いますよ。
いえいえ、短期でも、音楽と同じ割合で言葉はできるだけ準備しておいた方が、いいかもしれません。
ただ、入学前の試験、入学したばかりの頃や、試験の直前直後、特に、このままでいいのか迷っているとき、
先生を変わりたくて、学長に話したいときなどの大切なときには、きちんと音楽のわかる人に通訳を頼むことも必要でしょう。
時間をのんびり使っていい所と、その必要がないところを見分けましょう。
必要な話が進まないと、時間だけではなく、精神的に疲れてしまうこともあります。
少しずつ生活に慣れていくにもかかわらず、あるとき
つかれちゃったー、つかれちゃったー、つかれちゃったー・・・ブル〜ブル〜
という時期が来るかもしれません。
そういうときは、レッスンも無理せずに休んでしまいましょう!
先生に悪い、とか、恥ずかしい、とか、次に行ったら怒られるかも、とか、曲の進みが遅れる、とか、
そんなこと、考えなくっていいんです・・・ここはもう、日本ではないのだから!!フランスなんだから!!
先生は、なんとも思ってらっしゃらないことが多いんですよ。
(ためにならない)フランス人生徒の態度は、こうです。
たとえば、もうすぐ、合奏で発表なのに、一度もうまくいったためしがないどころか、一度の通しさえも、できません。
日本人のあなたは、心配いっぱいで当日を迎えます。
ところが、当日の演奏は、それまで見たこともないほど皆が集中し、うまく行きます。
ソロでも、ピアニストが忙しくて、希望するほど合わせができないことがしょちゅうです。
というのがフランスの日常茶飯事。
日本人ならば、きっちりきっちり長い日にちをかけて準備して、完璧に何度も通して、さて、当日ふたをあけてみると
「80パーセントも実力を発揮できなかった・・・」なんて、ため息をつくことがあったりして、まるで正反対ではありませんか?
ご参考までに、という、極端な実例です。もちろん、皆がそうはのんびりしていないとは思いますが、それでもなんとかなる、ということもあるんです。
だから、
つかれちゃったー、つかれちゃったー、つかれちゃったー・・・
という時期に出会ったら、深く考えずにレッスンを休みましょう。
気を遣わなくていいんですよ。
そして、精神的な疲れには、体の疲れも大きくかかわっています。
まず体を休めてのんびりしましょう。
・・・・・・・それとも、いまどきの留学生には、必要なかったかなあ?いらぬ老婆心か、やはり。
「パリ症候群」をご参考までにお勧めします。