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日本とフランスの音楽学校の関係

 

日本の音大・大学院と、フランスの音楽学校とのちがいについて質問をいただきましたので、まとめてみました。

実際の受験の様子についても記述しました。一部、内容が他ページと重複しておりますので、ご了承ください。

試験の実際〜審査員体験談でも取り上げていますのでご参照ください。これは、入学試験ではなく、実際の進級・卒業試験で審査員をしたときのエピソードです。入学以降の参考になれば幸いです。

 

★追記★時事ネタはブログ パリ音楽留学日記 にてどうぞ。近年学校の名称、仕組みなども変わっています。まだまだ変わっていく可能性ありです。(201010) 

 

まず日本では  フランスの場合  フランスの音楽学校の流れ

 

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まず、日本では

全国に多くの大学、短大、また専門学校がありますが、ここでは、まず一般的な一例として、音楽大学・院を取り上げます。

 

入るまで

「大学」は高校の卒業資格をもって、何らかの形で「受験」せねばなりません。高校3年で進路の選択に迫られます。18歳になってから入るところですし、受験もあるので、音楽高校にいる生徒を別として、何かと個人的に基礎の準備が必要です。その基礎は個人レッスンや、音楽学校のソルフェージュクラスなどで鍛えます。落ちても、再受験も可能です。

入ってから出るまで

大学は、2年生までは、一般科目(外国語、数学、社会学など)の単位もとらねばなりません。ここで留年してしまう場合もあります。その後も、音楽に付随する義務の科目の単位も終えねば卒業できません。(音楽史、和声法、ソルフェージュなど)そのため、副科ピアノやソルフェージュで留年するという学生もいます。

 

卒業には、実技演奏があります。大学院終了のためには、実技と論文提出をします。(日本を離れて年月がたっていますので、だいぶ様子もかわっているかもしれませんが・・・)日本の大学・大学院では、選択で中高の教職の免状を取得できます。

 

一方で、音楽「専門学校」、音楽コース、と名前の着いているところや大手の音楽教室では、楽譜が読めない、としても、自由に専門科目のみや、ソルフェージュの勉強ができます。大人も子供も入れます。

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フランスの音楽学校

というのは、日本の音楽大学とはぜんぜん違うシステムで「大学」ではなく「音楽の専門学校」です。

 

日本で音楽学部の卒業生であり、同時に工学科を卒業、という肩書きもある方は、日本ではその場合、その人は、大学を二校、通年8年通われた、ということになりますが、フランスの音楽学校では時間数が少なく融通が利くため、大学の授業と音楽学校の時間割が会えば、双方同時に通えます。音楽学校を二つ掛け持ちすることも可能です。ですから、法律家や医者でありながら音楽ディプロムをもっている、という人が少なくないのです。

 

フランスの大学での音楽専攻とは、「音楽学専攻」を意味します。実技のレッスンもありません。希望する学生は音楽学校などで別にレッスンを受けます。日本の音大とはシステムがまったくちがうわけで、論文を書く必要があるようです。

注)最近、一部の大学と音楽学校間で、提携が始まったようですので、また変わっていくかもしれません。

 

これはあくまでもフランスの場合で、また刻々とかわっていく可能性があります。お隣ドイツでは、音楽「大学」を卒業すれば、「ドイツの“音大”卒業」となり、かつ、音楽だけの音楽学校もあるそうです。(日本の音大とドイツの音大の間で同等に認められる科目もあるのかもしれません。)

 

フランスは、「外国の同様のディプロムを認め、単位を認証する」と書いてあっても、その実は、なんだかんだ言って、正式に受け付けないことがあります。ヨーロッパの国の出身者であっても、特にフランスだけが受け付けない、という、困ったウワサもヨーロッパ人から聞いてしまいました。蛇足ながら、単位の交換にはご注意を。

 

・年齢制限  ・レベルがまちまち  ・出にくい  ・一般科目はない ・副科ピアノはない  ・入試は実技重視および初見

・毎年募集があるとは限らない

 

などなどが、おおよそのちがいです。

 

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フランスの音楽学校の流れ

 

公立の音楽学校  年齢制限   入学試験  試験の時期  始まる時期  最後に

 

 

公立の音楽学校

たいていどの市町村にもあり、7歳位から始めることができます。グループ授業のソルフェージュは必須。学校により、最初から楽器のクラスが取れるところと、できないところがあります。小学校は水曜・土曜などが休みなので、その日のコンセルヴァトワールは、特ににぎわいます。最低限なら、最初のうちは必須のソルフェージュと実技で週に1時間半から2時間のみ、ということになります。

 

現在は1サイクル(1課程)が4年。なので、うまくいけば、7、8年で「2課程」を終了します。まったくの初心者で始めて、ひととおりOKですよ、ということです。1サイクルを終える時点で試験があります。これを「落第」すると、もう一年やり直しの猶予を与えられます。しかし、その次も試験でダメだった場合、第2課程にあがれないことになります。(具体的なシステム参照)

 

それ以上を希望する人は、第3課程を目指します。この課程のある学校は、大きめの市などに限られてきます。学校もたいてい大規模です。いわゆる「CNR」などには、第3課程があります。大学在学中、あるいは卒業した日本人が目指すのは、自然とそのあたりのレベルから、ということになってくるでしょう。

 

年齢制限

なぜ年齢制限があるか?というと、若くてうまい子が多いから・・・?

各クラスには「定員」があります。日本の大学は「毎年募集する人数」を決めていますが、仏音楽学校の場合、毎年、ではなく、「その科全体としての定員」です。「定員」というより「満員」が決まっている飛行機・観光バスみたいなものです。「それ以上は入れない」のです。「卒業したのが5人」ならば、「その次の年の生徒募集は5人」という意味です。ですから、卒業する生徒がいなくて募集なし、という年もあります。

 

上記のように、7歳から始める生徒がいるので、若い子優先、といえば優先なのです。

ピアノやバイオリンは、国立にも10歳代で卒業する生徒がいる模様ですし、日本の音大を出てからでは、もう入学試験も受けられないそうです。

つまり、正確ではないのですが、ピアノだと20歳くらいの年齢制限です。

30歳までの人を入試に募集しても試験に立ちあうだけでも大変なので、自然と、年齢制限も下がってくるものかもしれません。

 

年齢制限は学校によって違うのではなく、科目によって違います。声楽などは男女によっても違います。入試受験の申し込みの前に、確認しましょう。すべての楽器は、年齢が若くなりますが、声楽だけは、日本と逆で、10代で始めず、20を越してからということが普通です。

 

さて、フランスには国立音楽学校がふたつ。レヴェルも高く、競争率も激しい。首席がとれないと、卒業になりません。「首席」は、あるレベルに達して、これなら終了させてもよい、という意味ですから、同時に首席が何人かいるのが普通です。2位で終了ということもあります。これも、もらえればすばらしいのです。何ももらえないと、終了させられない・・・という意味になります。

でも、勉学を重ねた年月は貴重なものです。

 

入るまで〜入学試験

公立音楽学校の場合、試験なしで入学を受付ているところもあります。そういうところは、年齢制限もゆるいか、あってないようなものです。

逆に、CNRや、レヴェルの高い学校には、子供でも入学試験があります。入れる人数が限られるからです。

日本人に人気のある私立の「エコールノルマル」も、入る際に演奏をしますが、これは「レベル分けテスト」です。そのかわり、その学年を「終了」できるかどうか、「首席」をもらえるかどうかは保証されません。でも、勉強していれば、そこに意義あり!

 

一般科目はない

数学とか英語はなし。(フランス語のレベルを問われるかどうかは不明です。作曲の方には、避けられませんが)

音楽史については、古楽を勉強したい人には欠かせない科目ですので、(限った時代ですが)、「古楽科」を目指す人には授業も試験も大有り!です。(入るときにはありません)

副科ピアノはない

ピアノも弾けない音楽家を見たくない〜副科ピアノもするべきだ!と思いますが、ありません。

入試は実技重視および初見(これは、演奏関係です。)

数曲、また課題曲を用意します。楽器ではおそらく課題曲が、具体的に出されます。レベルにより、直前に加えられ、一ヶ月という期限付きで準備する曲もあります。

歌の場合は、ジャンル・時代・言語に変化をつけるよう指示はありますが、「課題曲」というものは、あやふやです。「このレベルでこれを歌えなければいけない」というのは、あまりありません。

初見

既存の曲が出るようです。日本の音大では、作曲の先生による「新曲」でしたが・・・歌に関しては、経験では無調の曲などは出ません。歌詞はフランス語か、ラテン語です。

 

試験の時期

6月は、学年最後の月。このころに、すでに次の年度の募集をする学校もあります。

 

始まる時期

9月になると新学年。音楽学校が始まるのは、さらに1週間〜2週間後。という感じで、のんびりスタートします。

いきおい試験も、9月後半、10月頭、ということもあり。試験がない場合は、学校が始まり次第、先生と面接ということもあります。初心者の子供の生徒を受け入れるかどうか、話し合ったり、楽器の購入についての説明を受けます。ゆっくりしているので、2回レッスンを受けたら、もう10月のおわりで、最初のバカンスに突入ということもありえます。

学校によっては、試験日程の連絡がなかなか来ず、待ちかねていたら「明日試験だから」と連絡が来たとか。

その辺日本とちがってなかなかアバウトなフランス。焦る方が損します。ま、気長に待って、準備しましょう。

 

なお、国立の場合は、一年前から準備して情報を集めること。締め切りが、かなり前倒しです。

                                        

最後に

そして、日本の音大と、フランスの音楽学校の一番大きなちがいは、「あなたは外国人です」ということです。

(フランス人はガイジンに慣れていますけれど。)

3ヶ月以上の滞在のためにはビザが必要です。ビザを出す書類を用意できる学校もありますが、しない学校もあるかもしれません。

エコールノルマルは日本人を始め外人も多いので手馴れていますが、私立のため、その分の手数料は避けられないでしょう。

長期滞在を希望するのであれば、ビザについては、事前確認が必須です。

 

授業はフランス語です

レッスンはフランス語。外人も多いパリのこと、外人の先生のフランス語ということもありえます。

 

 

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