留学生活3〜私立音楽学校及び他の音楽学校〜
私立の音楽学校の長点は、人数の制限が公立ほどはなく、安心して申し込めることです。年齢制限もありません。各科のそろった大きな私立の学校もあります。日本では有名なパリ・エコール・ノルマル音楽学校(通称)もそういった私立の学校です。殆ど音楽の全科がそろっており、歴史、ソルフェージュだけでも申し込めます。ここから優秀な日本人ピアニストが出て、レベルの高いコンクールで賞を受けたりと、めざましい活躍をしています。また、大人になっていたエリックサティが通ったという、スコラ・カントルムもあります。
たとえばエコールノルマルでは、入学1学年からコンサート資格者まで、実に6、7年間にわたるいろんなレベルが設定されています。(楽器、音楽は、それくらい時間をかけてみっちり学ぶこと、と、公立でも私立でもあらかじめ設定されているわけです。)ですから、ピアノは副科の私でも、この学校のピアノ科に入ることが可能です。(・・・1年生かも知れませんが) たとえば、日本の音大を入っても出ていなくても、どこかの学年のクラスに該当できます。楽器の場合、初心者中の初心者についてはわかりませんが、募集人数に余裕があるのなら、さわったことのない楽器にも挑戦できることがあるかもしれません。ソルフェージュクラスがあるということは、初心者といえども、受け入れ態勢があるということでしょう。
ただし、この学校の難関は「出るところ」にあります。各学年の終了試験に受かるのは、難しいようです。たとえばピアノ科で、日本の音大出身レベルであれば、入学時は、皆さんがおおよそ同じ程度の学年に該当するようです。しかし、学年末の試験に受からず、次の年も同じ学年に、ということもありえます。つまり、それだけエコールノルマルの各学年終了資格、というものが簡単には与えられず、高い目標に設定されているということです。
しかし、万が一ディプロムにつながらなかったとしても、
その間の努力・勉強は、その後、実になるものがあることでしょう。
最大限、留学の中身を濃いものにしていく工夫は、本人次第です。
私立「音楽専門学校」は、公立よりはぐっと費用が高くなります。実際には、公立は、市や国からの援助で成り立っていますので、むしろ公立がやたら安いといった方がよいと思います。エコールノルマルは、「日本の公立音大の年間授業料程度」といったところでしょうか。日本から費用を検討する分には、やたらと高いわけではないと思います。ガイジンということで付随ずる「よくわからない」出費もありますが、その分、滞在許可には協力的、積極的な様子です。日本語のHPもあります。
ただし、事務のおばさんの態度が協力的である、ということではありません・・・これは、覚悟なさってね・・・
そのほかの学校
このエコールノルマルとスコラ・カントルム以外にも、ジャズの専門学校、ロシア系の音楽学校、イギリスのプログラムに準じた学校、イタリア系の先生のレッスンなど、探すと意外な学校がみつかります。こういうところが、“国際都市パリ“ならでは、かもしれませんね。(ただ、ビザの発行及び、長期滞在のための準備については不明です。)長期滞在についての心配がなかったり、短期滞在であれば、そんな学校をみてみることもおもしろいのではないでしょうか。
手前味噌〜大人のレッスン〜(ただし、このコースでは、確実にビザは取れません。)
一般の大人の方には、公立の音楽学校によっては「おとな・社会人コース」を設けている学校があります。たいてい夜にかけての時間帯です。演劇コースもあります。有料です。(公立であれば、やたらに高くはありません。)
レベルはどうか?というと、別に試験はありません。門は広く開かれています。ただし、登録は、早い者勝ちです。
大人で初心者だけど勉強したい!という方にも、道は開かれています。子供優先の公立の音楽学校であっても、場所や科目によって
“席が開いていれば”入れる可能性があるのです。ただ、パリの場合は人口が集中し競争率が高いので難しいでしょう。私立の方がだんぜん入りやすいといえます。パリの外の公立音楽学校であれば、大人であっても入れる可能性は高くなります。
私が現在教えている学校にもさまざまな楽器クラスやアトリエがあります。素人さんが集まるのんびり音楽学校に、あなたもいらっしゃいませんか?
合唱・アトリエジャズ・他のアンサンブルなど、お勧めします。